早期大腸がんの主な治療選択肢は、開腹手術に加え、内視鏡手術、腹腔鏡手術です。状態により再発予防の抗がん剤治療が加わります。進行がんの場合、切除範囲を拡大した手術と薬物療法、および両者の組み合わせで治療します。大腸がんのうち、直腸がんでは再発予防治療と骨盤内に再発した場合の治療を目的に放射線照射を行うことがあります。
大腸がんの治療選択肢のうち、以下では結腸がんに焦点をあて、結腸切除術、および結腸切除術と抗がん剤治療を組み合わせた2種類の治療(早期がん対象と進行がん対象)の3つの事例について、治療費の構造と概算費用、および自己負担額の目安について解説します。直腸がんの場合でも一部結腸がんと異なる治療を加える場合はありますが、治療費の見方はほぼ同じです。図中の(周)は周術期の治療費、(検)は定期検査の費用、および(抗)は抗がん剤治療費を示し、そこには入院費も含まれています。自己負担額については、周術期、同時期を除く1年目、2年目以降に分けて示しています。高額療養費制度が使える場合には必ず利用するものとし、70歳未満・一般世帯の所得水準であることを前提に計算しています。入院中の食事療養費はすべて自己負担とし、差額ベッド代は一切含んでいません。さらに、1年目の定期検査は、周術期治療や抗がん剤治療が終了した後に行うものをいい、治療中の検査費用は周術期治療費や抗がん剤治療費に含まれています。最後に、抗がん剤の治療費については、患者さんの体重や身長により抗がん剤の使用量が変わるため、その治療費にはも差が生じることにご注意ください(本サイトの「抗がん剤の治療費」参照)。
早期結腸がんの切除手術では、患者さんの自己負担はそれほど多くありません。周術期の治療費について高額療養費制度が利用できるはずです。自己負担額は初年度11万円弱(うち周術期に9万円)、2年目5万円、3年目以降は毎年2万円程度です。入院期間が1日長く、あるいは短くなる毎に総治療費が2万円上下します。
この事例では、術後の再発予防抗がん剤治療としてフルオロウラシルとレボホリナートカルシウムを併用する治療を行うことを想定しています。周術期治療費については高額療養費制度が利用できるはずです。但し、手術後半年間にわたり行う抗がん剤治療の治療費について、治療費総額は手術費用同様高額になりますが、1ヶ月あたりの治療費自己負担額は平均すると限度額未満になります。そのため月々の抗がん剤治療費用について高額療養費の利用ができません。結果として初年度の自己負担額は合計すると41万円強になります。入院期間が1日長く、あるいは短くなる毎に総治療費は2万円上下します。
進行がんで切除手術と術後抗がん剤治療が可能な場合です。抗がん剤治療の内容はFOLFOX4と呼ばれるレジメン(詳しくは「抗がん剤の治療費」のうち「大腸がんの抗がん剤治療費」を参照ください)に基づき治療費を計算しています。FOLFOX4にベバシズマブという分子標的薬を加えたレジメンを使う場合、総治療費は90万円強増加しますが、本抗がん剤治療に高額療養費制度が利用できるため自己負担額は殆ど変わりません。本抗がん剤治療は6ヶ月続き、周術期を含む最初の3ヶ月間は毎月8万円強、残りの3ヶ月間は毎月4.4万円の負担となります。定期検査は治療終了後、特に異常がない場合を想定していますが、再発の兆候や疑いがある場合には検査の頻度・内容が変わるために費用は大幅に増加します。
なお、進行した大腸がんについては肝臓や肺に転移することが多いことから、本サイトではW期の治療費計算の中に、大腸がん切除後に肝臓または肺に転移した患部を切除する場合の治療費についてもお示ししています。ご参考ください。