胃がんの主な治療選択肢は、早期がんの治療から順に、内視鏡治療、縮小手術、定型手術、および拡大手術となります。病期(ステージ)に応じ、手術と共に再発予防の抗がん剤治療を併用することがあります。放射線治療は、胃がんの根治治療には殆ど用いられません。
早期胃がん治療のうち内視鏡治療について、最近は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)に変わり、内視鏡的粘膜剥離術(ESD)が主流となってきました。後者では前者に比べ、より大きく、深く粘膜組織を切除することが可能になりますが、早期がんへの適用であることに変わりはありません。本サイトの計算部分では、両者の治療費について紹介しています。 早期胃がんの治療では、縮小手術について、腹部を切らずに(開腹せずに)、腹部に4箇所程度の穴をあけ、そこから腹腔鏡やメスを入れて患部を切除する腹腔鏡手術も適用になります。次に進行胃がん治療のうち第W期について、本サイトでは2つの治療選択肢しか示していません。しかし、第W期であっても手術が可能な場合には手術(第W期の手術としては、通常、拡大手術)が行われます。その治療費については、第V期にある拡大手術の費用をご参照ください。手術、検査、さらに入院を含む当初1ヶ月間(周術期)の治療費用については第V期と第W期の拡大手術の治療費に大きな違いはないはずです。また、第W期の抗がん剤治療の詳細については、本サイトの「抗がん剤の治療費」のうち「胃がんの抗がん剤治療費」をご参照ください。
以下では、胃がんの治療選択肢のうち、内視鏡治療のうち粘膜剥離術(ESD)、腹腔鏡による縮小手術、および定型手術後に再発予防の抗がん剤治療を行う3つの事例を取り上げ、治療費の構造と概算費用、および自己負担額の目安について解説します。図中の(周)は周術期の治療費、(検)は定期検査の費用、および(抗)は抗がん剤治療費を示し、そこには入院費も含まれています。自己負担額については、周術期、同時期を除く1年目、2年目以降に分けて示しています。高額療養費制度が使える場合には必ず利用するものとし、70歳未満・一般世帯の所得水準であることを前提に計算しています。差額ベッド代は一切含んでいません。1年目の定期検査は、周術期治療や抗がん剤治療が終了した後に行うものをいい、治療中の検査費用は周術期治療費や抗がん剤治療費に含まれています。最後に、抗がん剤の治療費については、患者さんの体重や身長により抗がん剤の使用量が変わるため、その治療費には差が生じることにご注意ください(本サイトの「抗がん剤の治療費」参照)。
内視鏡的粘膜剥離術の場合、周術期治療費総額は入院費用を含めても40万円弱であり、その自己負担額は8万円です。今回の治療費計算では7日間入院することを想定しています。入院が1日長く、あるいは短くなる毎に総治療費は2万円弱上下します。内視鏡的粘膜剥離術は早期胃がんへの適用であり、通常、手術後の抗がん剤治療は行いません。手術後の治療は定期検査のみです。その自己負担額は、初年度12万円(うち周術期に8万円)、2年目以降3万円程度かかります。
腹腔鏡手術では手術の技術料が評価されるため、開腹手術の場合と比べて周術期の治療費がやや高くなります。周術期の治療費については高額療養費制度が利用できます。自己負担額は初年度11万円(うち周術期に9万円)、2年目以降は毎年3万円程度です。入院期間が1日長く、あるいは短くなる毎に総治療費が2万円上下します。
抗がん剤はテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
定型手術後に再発予防の抗がん剤治療を行う場合、周術期治療費については高額療養費制度が利用できます。しかし、手術後1年間にわたり行う抗がん剤治療の治療費について、治療費総額は手術費用同様高額になりますが、1ヶ月あたりの治療費自己負担額は平均すると限度額に達しないために高額療養費制度の利用はできません。その結果として初年度の自己負担額は合計すると40万円強になります。治療にはテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウムという抗がん剤を使用する前提で治療費を計算しています。なお、入院期間が1日長く、あるいは短くなる毎に総治療費は2万円上下します。