|
がんかどうかの診断、さらに診断された後の部位や大きさ、形状などの特定にあたり、さまざまな検査が発生します。血液や尿の検査に加え、腫瘍マーカーを測ったり、胃、大腸、あるいは肺の内部を直接観察する内視鏡検査、さらにCTやMRIなどの画像診断検査と多様な検査があります。最近では、抗がん剤が効くかどうかを事前に判定するための遺伝子検査も登場しています。
ここでは、5大がんを対象とする検査のうち、血液・尿、あるいは腫瘍マーカー等の検査を除く検査であって、患者さんの負担が大きくなりがちな検査を中心に、下記一覧に示した検査の費用をご紹介します。ご利用の際に、@各費用は検査の総費用を示し、自己負担額ではないこと、A検査に使用する薬剤(鎮痛剤等)の種類や量が異なると費用が変わること、にご注意ください。
(用語)
| 名称 |
解説 |
| カテーテル |
医療用のチューブ |
| 鉗子(かんし) |
組織を採る器具 |
1.内視鏡
内視鏡検査中、周囲の組織と異なる病変が見つかった際に、その病変組織を採取し、病理検査を行い、がんであるかどうか検査を行うことがあります。内視鏡の検査費用については、組織をとる場合ととらない場合に分けて紹介しています。組織をとる場合、内視鏡で観察する費用に加え、病理組織を取り、診断するまでの費用すべてを含んでいます。
(食道・胃・十二指腸)
| 名称 |
胃・十二指腸ファイバースコピー(食道・胃・十二指腸内視鏡検査) |
| 種別 |
内視鏡で見る |
主な対象疾患 (5大がん) |
胃がん |
| 解説 |
先端にレンズのついた細いグラスファイバーの管を口から挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察、撮影する検査。鉗子をこの管に通して組織を採取したり、洗浄、止血等の処置を行うこともできる。 費用は、組織採取の有無などで変わる。 |
| 費用 |
組織をとらない場合 |
組織をとる場合 |
| 18,000円 |
32,000円 |
(大腸)
大腸ファイバースコピーは、検査する部位により費用が異なります。結腸は大きく、直腸に近くおなかの左下にあるS状結腸(@)、そこからおなかの左上部へ上がる下行結腸と、左上から右上に走る横行結腸(A)、さらにおなかの右上から右下の盲腸まで下がる上行結腸(B)に分れます。大腸ファイバースコピーは、肛門から内視鏡を入れて検査をしますので、肛門に近い@の部位の検査が最も安く、次にA、そしてBは体内の最も遠くまで内視鏡を入れることになりますので技術的に難しく、費用も高くなります。下表の組織をとる場合、とらない場合の3つの費用は、いずれも左から@、A、Bの部位までの検査費用を示しています。例えば、S状結腸から、下行結腸、横行結腸、さらに上行結腸まで観察し、いずれかの組織をとって病理診断まで行う場合、検査総費用は60,000円になりますし、横行結腸までの場合ですと46,100円になります。
| 名称 |
大腸ファイバースコピー(大腸内視鏡検査) |
| 種別 |
内視鏡で見る |
主な対象疾患 (5大がん) |
大腸がん(結腸がん、直腸がん) |
| 解説 |
先端にレンズのついた細く長いグラスファイバーの管を肛門から挿入し、大腸の内部を直接観察、撮影する検査。鉗子をこの管に通して組織を採取したり、洗浄、止血等の処置を行うこともできる。 費用は、検査する大腸の部位や組織採取の有無などで変わる。 |
| 費用 |
組織をとらない場合 |
組織をとる場合 |
| 15,700円/20,200円/22,200円 |
29,700円/46,100円/60,000円 |
(直腸)
| 名称 |
直腸ファイバースコピー(直腸内視鏡検査) |
| 種別 |
内視鏡で見る |
主な対象疾患 (5大がん) |
直腸がん |
| 解説 |
先端にレンズのついたグラスファイバーの管を肛門から挿入し、直腸の内部を直接観察、撮影する検査。鉗子をこの管に通して組織を採取したり、洗浄、止血等の処置を行うこともできる。費用は、組織採取の有無などで変わる。 |
| 費用 |
組織をとらない場合 |
組織をとる場合 |
| 12,200円 |
26,200円 |
(肺)
| 名称 |
気管支ファイバースコピー(気管支内視鏡検査) |
| 種別 |
内視鏡で見る |
主な対象疾患 (5大がん) |
肺がん |
| 解説 |
先端にレンズのついた細いグラスファイバーの管を口から挿入し、気管支の内部を直接観察、撮影する検査。鉗子をこの管に通して組織を採取したり、洗浄、止血等の処置を行うこともできる。 費用は、組織採取の有無などで変わる。 |
| 費用 |
組織をとらない場合 |
組織をとる場合 |
| 28,000円 |
45,300円 |
↑このページのトップへ
2.エコー
| 名称 |
超音波検査(エコー) |
| 種別 |
超音波で見る |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
体に超音波をあて、その反射波から臓器の断層画像をモニターに映し出して観察し、体内の様子を調べる検査。費用は、検査する体の部位で変わる。5大がんのうち、乳房は3,500円、腹部は5,300円。 |
| 費用 |
3,500円 〜 5,300円 |
↑このページのトップへ
3.X線
(上部消化管X線造影:胃透視)
| 名称 |
上部消化管X線造影(胃透視) |
| 種別 |
X線で画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
胃がん |
| 解説 |
造影剤(バリウム)を飲み、X線により映しだされたモニター画像を確認しながら、様々な角度からX線で撮影し、胃の形状や粘膜の様子を調べる検査。 |
| 費用 |
13,200円 |
(下部消化管X線造影:注腸)
| 名称 |
下部消化管X線造影(注腸) |
| 種別 |
X線で画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
大腸がん(結腸がん、直腸がん) |
| 解説 |
肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入して、X線により映しだされたモニター画像を確認しながら、様々な角度からX線で撮影し、大腸の形状や粘膜の様子を調べる検査。 |
| 費用 |
15,500円 |
(内視鏡的逆行性胆管・膵管造影法)
| 名称 |
内視鏡的逆行性胆管・膵管造影法(ERCP) |
| 種別 |
X線で画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
肝臓がん |
| 解説 |
口から細く長いグラスファイバーの管を十二指腸まで挿入し、その管を通して総胆管開口部から総胆管に極細のカテーテルを挿入したうえで造影剤を注入して、X線で撮影し、膵管や胆管の状態を調べる検査。 |
| 費用 |
21,300円 |
(腹部血管造影)
| 名称 |
腹部血管造影(アンギオ) |
| 種別 |
X線で画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
肝臓がん |
| 解説 |
カテーテルを足の付け根の血管から目的の血管まで挿入して造影剤を注入し、X線で連続撮影し、血管の形状などを観察する検査。 |
| 費用 |
169,500円 |
↑このページのトップへ
4.断層造影
(コンピューター断層撮影)
通常、「CT(シー ティ)」と呼ばれる検査。
| 名称 |
コンピューター断層撮影(CT) |
| 種別 |
断層画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
さまざまな角度から細いX線ビームを複数照射し、その情報をコンピューターで解析して、体内の輪切り状の断面像を合成し、がんの大きさや広がりを調べる検査。 費用は、造影剤の使用の有無や、使用する機器(画像解析能)などで変わる。 |
| 費用 |
造影剤の使用なし |
造影剤の使用あり |
| 11,700円 〜 14,700円 |
28,200円 〜 31,200円 |
(磁気共鳴コンピューター断層撮影)
通常、「MRI(エム アール アイ)」と呼ばれる検査。
| 名称 |
磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI) |
| 種別 |
断層画像を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
強力な磁気の力を利用して体内の鮮明な断面像を撮影し、その情報をコンピューターが解析して体の断面像を合成する。CTと異なり様々な断面像がとれる。 費用は、造影剤の使用の有無や使用する機器(画像解析能)などで変わる。 |
| 費用 |
造影剤の使用なし |
造影剤の使用あり |
| 15,700円 〜 19,000円 |
24,500円 〜 27,800円 |
(ポジトロン断層撮影)
通常、PET(ペット)と呼ばれる検査。
| 名称 |
ポジトロン断層撮影(PET) |
| 種別 |
放射性薬剤を使って全身を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
腫瘍に集まる性質をもつ放射性の薬剤を注射し、専用の機器で体内の放射線の分布を計測した上でコンピューターが体の断面図を作成し、がんの全身への広がりを調べる検査。 |
| 費用 |
80,700円 |
↑このページのトップへ
5.生検
(センチネルリンパ節生検)
乳がんと皮膚がんの一種である悪性黒色腫について公的保険適応となっています。早期胃がんのセンチネルリンパ節生検など先進医療になっているものもあります。 下記に示した費用は乳がん手術の際のセンチネルリンパ節生検に関するものです。 乳がん手術において、従来、予防的にわきの下のリンパ節までとるケース(郭清)が多くありました。リンパ節を郭清すると、郭清した側の手の挙げおろしが不自由になったり、後年、リンパ浮腫に苦しむこともあります。しかし、センチネルリンパ節にがんの転移がなければ、そのリンパ節をとる(郭清する)必要がなくなりますので、事前にそこにがんの転移があるかどうかを確認することは非常に重要です。
| 名称 |
センチネルリンパ節生検 |
| 種別 |
組織を採って調べる |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
腫瘍のもっとも周辺に存在するリンパ節をセンチネル(歩哨)リンパ節と呼び、このセンチネルリンパ節を採取して、がん細胞のリンパ節への転移の有無を確認する検査。乳がんと悪性黒色腫については保険適応となっているが、その他のがんについては一部が先進医療の対象。 |
| 費用 |
84,500円(乳がん対象) |
(経気管肺生検法)
| 名称 |
経気管肺生検法(TBLB) |
| 種別 |
組織を採って調べる |
主な対象疾患 (5大がん) |
肺がん |
| 解説 |
X線により映しだされたモニター画像を確認しながら、細いグラスファイバーの管を肺の奥の病巣まで挿入し、鉗子をその管から挿入して、組織片を採取する検査。 |
| 費用 |
50,600円 |
↑このページのトップへ
6.その他
(悪性腫瘍遺伝子検査)
一部の分子標的薬については、ある遺伝子の変異があると有効性が大きく異なることが知られています。そのため、この薬を使う場合には、事前にその遺伝子に変異があるかないか検査を行い、変異が「ある」、あるいは「ない」と判定された患者さんにのみ使うのが科学的に正しい方法であるといえます。例えば、進行した大腸がんの治療に使用される抗がん剤である「セツキシマブ」は、K-ras遺伝子に変異が「ない」患者さんが対象になりますので、この抗がん剤治療を受ける場合、事前に遺伝子検査を受けることが必要になります。 いろいろと話題になっているゲフィチニブ(イレッサ)についても、あるタイプの患者さんには非常に切れ味のよいことがわかっています。 副作用が多いといわれる抗がん剤ですが、予め有効性が高い患者さんに絞って使うことで期待される治療効果が高まりますし、効かない患者さんには使わないことで社会的なコストも効率化されます。
| 名称 |
悪性腫瘍遺伝子検査(K-ras遺伝子、EGFR遺伝子) |
| 種別 |
組織を採って調べる |
主な対象疾患 (5大がん) |
肺がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん) |
| 解説 |
がん組織の一部を採取し、がん細胞の特定の遺伝子を調べることによって、詳細な診断や治療法の選択を目的とした検査。 |
| 費用 |
20,400円 |
(抗悪性腫瘍剤感受性検査)
抗がん剤の効き目は患者さんごとに異なります。そこで、患者さんのがん細胞と抗がん剤をいっしょに培養した結果を観察し、その抗がん剤が患者さんに効くかどうかを事前に判定してから治療を開始します。一般に抗がん剤は強い副作用が出ることが多く、事前にその抗がん剤が患者さんに効くか、効かないかを知ることは、治療の成績を向上するうえでも、また患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上するうえでもきわめて重要です。 以下は、胃がんに関する抗がん剤の感受性検査に関する費用です。
| 名称 |
抗悪性腫瘍剤感受性検査 |
| 種別 |
組織を採って調べる |
主な対象疾患 (5大がん) |
胃がん |
| 解説 |
がん組織の一部を採取し、抗がん剤に対する感受性(効きやすさ)を判別する検査。 |
| 費用 |
20,400円 |
一部の抗がん剤感受性検査は先進医療*となっていますので、検査費用とその自己負担額はやや高くなります。各医療機関のホームページに記載のある感受性検査費用は下表のとおりです(2011年2月1日現在)。
| 検査名称 |
医療機関名 |
金額 |
抗悪性腫瘍剤感受性検査 (HDRA法/CD-DST法) |
慶応義塾大学病院 |
3万円前後 |
| 名古屋大学医学部付属病院 |
29,800円 |
| 福井大学医学部付属病院 |
32,700円 |
| 滋賀医科大学医学部付属病院 |
87,400円 |
| 群馬大学医学部付属病院 |
38,900円 |
| 大阪府立成人病センター |
75,000円 |
| 川崎医科大学付属病院 |
76,300円 |
| 財団法人癌研究会 有明病院※ |
224,000円 |
| 市立函館病院 |
50,190円 |
| 和歌山県立医科大学付属病院 |
22,700円 |
抗悪性腫瘍剤感受性検査 (SDI法) |
和歌山県立医科大学付属病院 |
25,200円 |
| 岩手医科大学付属病院 |
19,000円 |
※注)5種類までの抗がん剤への感受性を同時に測定可能
(骨シンチグラム)
がんが骨に転移しているかどうかを調べる検査です。
| 名称 |
骨シンチグラム(骨シンチグラフィー) |
| 種別 |
放射性薬剤を使って全身を撮る |
主な対象疾患 (5大がん) |
各種がん |
| 解説 |
骨に集まる性質をもつ放射性の薬剤を注射し、専用の機器で体内の放射線の分布を画像化することで、がんの全身の骨への広がりを調べる検査。 |
| 費用 |
56,100円 |
↑このページのトップへ
|